コンサートレポート
江戸川区立松江第一中学校でコンサート(東京都江戸川区)

文化庁「学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業/ユニバーサル公演事業」を活用して、江戸川区立松江第一中学校に「みんなのコンサート」をお届けしました。
これまで実施されている「学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業」の中で、“さらに多くの子どもたちが文化芸術に親しみ、文化芸術を通して表現の多様性を認識し、障がいへの理解を深める鑑賞・体験機会を提供することを目的としています。(学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業のサイトより引用)
今年度最初のユニバーサル公演は、2024年7月4日・5日・8日と3日間にわたり、各日45分間のプログラムをお届けしました。
今回の公演は、不登校生徒を対象とした活動を担当する先生より「ぜひ五感を使う体験、心の動く体験を子どもたちに」との思いから文化庁事業の申請の際にご相談をいただきました。文化庁事業では公演の対象に「不登校生徒」という定義・カテゴリは設定がなかったものの、申請の結果、支援を受けられることが決定しました。
公演当日は文化庁より視察の方もいらっしゃる中、不登校の生徒さんが活動する教室「エンカレッジルーム」にて、3日連続の公演がおこなわれました。

1曲目「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」から始まる1日目の公演。少人数で体験できるユニバーサル公演ならでは、アーティストが生み出す音色をより間近に感じ、一気に音楽の世界に引き込まれます。

一度は耳にしたことがある有名作曲家の名前、そして、彼らが生み出した名曲の数々を紹介。作曲家が込めたメッセージや作品の楽しみ方を学ぶことで、より音楽を身近に感じてもらえました。
特にベートーヴェン「運命」で更に深く曲の世界観を感じ、ベートーヴェンがこの曲に込めた思いや作曲家の人生に思いを寄せます。“怒り”や“悲しみ”、そして“希望”が込められたメロディーを五感を使って感じている子どもたちの姿が見られました。

オペラ『ドン・ジョヴァンニ』より「窓辺においで」では、バリトンの歌唱にのせ、さまざまな表情を見せながら愛の歌を歌い上げました。豊かな表現に、それぞれの想像力もかきたてられます。

2日目の公演は、モーツァルト作曲「ディヴェルティメントニ長調」より第3楽章で始まりました。弦楽三重奏による弾むような演奏から、爽やかな風を吹き抜けるような響きへと変化していき、音楽を通して、子どもたちに語りかけます。


明るく澄んだ音色をだすフルートの演奏では、優雅な心地よい空間が流れました。管楽器の特徴を生かした演奏が続く中、フルートの構造や他の楽器との違いについて学び、音楽への理解を深めていきます。

『魔笛』より「鳥刺しの歌」では、オペラの言語によって器楽の演奏が変化することを紹介。
そして、1日目に続き、ギャリーによる声楽ワークショップ2日目では“息継ぎ”について解説。子どもたち自身の中から、試行錯誤しながらも、「音を使って表現したい」という働きが生まれてきました。

最終公演日の3日目は、バッハの『ゴルトベルク変奏曲』の「アリア」から始まりました。なめらかに流れるような旋律を繰り返し、そして音を重ねていくことで、静粛した空間の中に心地よさを超えた安堵感が会場を包みました。


2日目に続き、弦楽器の特徴を紹介。大きさによって音域が違うことや楽器の構造までわかりやすく解説。

3日目は“歌詞の意味を考えよう”をテーマに声楽ワークショップをおこないました。楽器の旋律にのせる歌詞の意味を理解することで、自分の口から一語、一語と言葉を紡いで、そして、それが音楽になることの可能性や表現力の豊かさを伝えることができました。
生徒だけでなく、大人も一緒に音楽にあわせて歌うことで、一つの音楽を作ることができました。


終盤の指揮者体験では、コンサートの中で感じ、学んだことを最大限に生かして、自らの表現でカルテットを操り表現する歓びを感じてもらいました。

3日間にわたる公演は、同じ空間で音楽に向き合い、共に音楽を作り上げる体験ができ、音楽の本質を感じる充実の時間となりました。
自分を表現するための“音楽”が身近になったこと、そして、ともに記憶に残る夏の経験となりました。
江戸川区立松江第一中学校の皆さま、ありがとうございました!
