コンサートの1日／アーティストコラム

ゆうきおにいさんことヴァイオリン・ヴィオラの小倉勇樹さんが、アーティストの魅力や生の声をご紹介。

今回は、アーティストの「コンサートの1日」です。

演奏とパフォーマンスで、子どもたちの耳・目・心を惹きつけるアーティスト。コンサート出演の日の1日とは。また、アーティストだからこそ見えるコンサートのお話とは。ゆうきおにいさん、よろしくお願いします！

---

皆さんこんにちは。ヴァイオリン・ヴィオラの｢ゆうきおにいさん｣こと小倉勇樹です。

さて今回はですね、ちょっと今までと趣向を変えて、ワタクシのみんことのコンサートの１日を日記のように紹介しようと思います。では早速レッツゴー！

スマホの目覚ましが鳴って起きます。時刻は５時半、季節が冬だとまだ真っ暗です。顔を洗って目を覚まして、まずは｢検温｣。いつも通りの平熱です。支度をしてさぁ出発！

電車に乗ると、揺れがなんともいえない眠気を誘ってきます。しかし、それを許さない眩しい朝陽。本を読んだり、原稿を書いたり、これからのコンサートのイメトレをしたりしていると、集合場所の駅に到着。遅刻は伺う園にもメンバーにも多大な迷惑をかけてしまいます。音楽家にとって遅刻はたとえ１分でも厳禁！いつも集合時間より30分は早く着いて（中にはもっと早く着いてるメンバーも！）近くのお店を見つけて朝ごはんを食べ、集合場所へ。スタッフによる検温を経て、園に向かいます。

園に着くと入る前にまずは消毒。入り口の水道で手を洗ってから入る園もあります。とっても寒いなか、登園してくる子どもたちも冷たい水で手を洗っています。子どもたちも、感染対策を一生懸命やってるんだよね。

そして、リハーサル。ワタクシはこの時間が一番緊張します。今まで何度も弾いている曲でも｢もっと良い演奏を、もっと“本物の体験”を｣って準備してくるメンバー。毎回が真剣勝負です。また、それぞれの園によって演奏会場の大きさも聴こえ方、響き方も違います。その中で、ベストのバランスを見つけていきます。

リハーサルが終わり、園の先生方はコンサート準備。子どもたちが座る椅子を並べて下さり、並べたら消毒。先生方の細心の注意と心配り、見えない努力のおかげでコンサートが出来ます。我々も着替えて本番を迎えます。
さぁ今日も気合い入れて弾くぞ！

本番中、我々だけの｢特権｣があります。それは｢子どもたち全員の顔を見れる｣こと。
笑っていたり、ノリノリに体を動かしてくれたり…｢なにをやってるの？｣って不思議そうな顔をしている子もいれば、中にはビックリして泣いちゃう子も…。

でもそれが良いんです！コンサートの楽しみ方は自由！
一人ひとりが聴こえたものを思いのままに感じて、表現して…それが｢みんこと｣のコンサート。ビックリして泣いちゃうことだって子どもたちにとっては大切なこと。

｢何で音が鳴るんだろう？｣とか｢次はどんな音楽なんだろう？｣とか、その｢ワクワクドキドキ｣が子どもたちの｢興味｣や｢好きなモノ｣を作っていくと思っています。｢好きなモノ｣を見つけて、それをずっと｢好き｣でいられ続けることが、その人の人生を豊かに励まし続けてくれるんだよ。

そして、コンサートもおしまい。我々はとても充実した顔をしてますが、子どもたちも達成感のある表情してる！それは一緒にコンサートを作りあげたからだよね。その表情が、さらに我々に勇気を与えてくれます。｢もっともっとたくさんの子どもたちに届けるぞ｣って…。

ワタクシは常々｢子どもたちは未来｣だと思っているんですね。子どもたちが未来の日本を、世界を作っていきます。これからますます世界は混沌としていってしまうかもしれません。人類という大きな家系図の最先端にいるのが子どもたちです。

昨今のコロナ禍でも｢みんこと｣が活動しているのは｢子どもたちの未来｣のため。この状況下で呼んでくださる園も大変だと思います。｢今、呼ぶことないじゃないか、もっと落ち着いてからでも｣という意見がある中で、しかし｢子どもたちの未来のために今しか体験できないこと｣と強く思い呼んでくださるのだと思います。本当に先生方や関係者の方に感謝です。

｢音楽をやっていて良かったな｣って思いながら、園を後にして、今日は午後に他の仕事もなくこれで終わり。充実した時間に感謝し、メンバーと別れて帰路につきます。

｢今日も良い１日だったな～｣ってまだお昼前。帰りはゆっくり電車に揺られて心地よく眠りにつき…寝過ごしてしまうのでした(笑)。

おしまい。

最後までお読み頂きどうもありがとうございました。では、また次回をお楽しみに。

このコーナーへのご意見、ご感想、リクエスト、アーティストに聞いてみたいことなどなど、どしどしお寄せ頂けると嬉しいです。皆さまのお便りが「頼り」です！(hello@minkoto.org)

(文、構成ー小倉勇樹)