東京都立小金井特別支援学校で第2回「子供のための文化芸術鑑賞・体験再興事業」（東京都小金井市）

音楽体験で学ぶ自由な表現

第1回目に引き続き、7月19日（火）に東京都立小金井特別支援学校で第2回「子供のための文化芸術鑑賞・体験再興事業」みんなのことばコンサート＆ワークショップを開催しました。

当日はアーティストと生徒さんたちの距離を２ｍ以上保ち、十分なスペースを空けて席に座っていただくなどの感染症対策をしっかりと取り、コンサート＆ワークショップを行いました。

演奏から読み取る表現者の感情

体育館の天井高く響き渡るバッハの「G線上のアリア」で、前半のコンサートが静かに始まります。

2回目の今回は、ひろゆきおにいさんのリードで、作曲者の気持ちや感情に注目して音楽を聴いていきます。

曲の冒頭で「あ、この曲か！」と子どもたちが目を輝かせたのは、ベートーヴェンの「運命」。

ベートーヴェンの抱えていた苦しみを表現するかのような気迫あふれるアーティストの演奏に、子どもたちはどんどん引き込まれていきます。

3曲目の「たなばたさま」は、ひろゆきおにいさんの編曲による、みんことのオリジナル楽曲。

「運命」の緊張感と打って変わって、星空や風を思わせる柔らかい響きが会場に広がり、夜風に揺れる笹の葉や短冊をイメージしながら、生徒さんたちは身体を揺らして曲を楽しみます。

最後の曲「『リュートのための古風な舞曲とアリア』よりシチリアーナ」では、アーティストたちの演奏によって作り出される海外の風景やその場の風、香りをも想像させる世界観を味わいました。

音楽を通して作り手の心の声や、作曲した当時の背景を想像ができることを学んだ、前半のコンサート。

聞き応えたっぷりの時間となりました。

演奏の楽しさを体感

後半はなつきおねえさんのワークショップです。

今回のテーマは「リズム」。

最初のウォーミングアップから先生や友だちと手を取り合い、リズムを楽しみながらワークショップはスタートです。

まずは、先週の指揮者体験で用いた「カルメン」に合わせて、タンバリンやカスタネット、フレームドラムを全員でたたきます。

なつきおねえさんのガイドのもと、さまざまな楽器をリズムを意識しながらたたくことで、大きな音も、小さな音も、多彩な音色が作り出せることを感じ取っていきます。

そして、全員で息を合わせて演奏していくうちに、まわりの友だちやアーティストたちとの間に自然とコミュニケーションが生まれ、ワークショップで一番大切な「みんなと一緒に合わせてみる」ということを、生徒さんみんなが体感してくれました。

音楽を通して得る共感ということ

最後のワークは「カノン」でトーンチャイムに挑戦。

全体を6つのグループに分け、配られたトーンチャイムを順番に演奏することで、カノンのメロディを作り上げます。

前後の音を聴きながら自分の番に楽器を鳴らし、そして次につないでいく。

「音のリレーだ！」という生徒さんの素晴らしい気づきがありました。

メロディが完成したら、いよいよアーティストとの合奏です。

ひろゆきおにいさんの奏でるチェロの低い音に、生徒さんたちのトーンチャイムが柔らかく溶け込んでいきます。

演奏の後半では、先生方やスタッフも手拍子でリズムを加え、とっても楽しい「カノン」を作り上げることができました。

そして演奏の最後、みんなで奏でたラストの1音が消え入ると同時に、大きな拍手が会場全体で湧き起こりました。

2回にわたり、音楽を楽しみ、感じ取り、表現し、そしてコミュニケーションを作り出すコンサート＆ワークショップをお届けしました。

今回の体験をきっかけに、子どもたちが音楽に対する感性を高め、言葉だけではなく、さまざまな表現方法でまわりの人たちと共感し、喜び合う気持ちを大切にしてくれたら、こんなにうれしいことはありません。

東京都立小金井特別支援学校のみなさま、ありがとうございました。

ぜひ、また、お会いしましょう！

今回訪問したアーティスト

フルート：かなこおねえさん（谷田 圭菜好）
ヴァイオリン：はるなおねえさん（須藤 はるな）
ヴィオラ：ゆうきおにいさん（小倉 勇樹）
チェロ：ひろゆきおにいさん（ヨコミゾヒロユキ）
司会：なつきおねえさん（坂本 夏樹）