京都市立神川中学校で中学生向けコンサート&ワークショップ(京都府京都市)

子どもたちの喜びが広がるコンサート&ワークショップ

2月3日は、京都市立神川中学校にコンサート&ワークショップをお届けしました。

今回のコンサート&ワークショップは文化庁が今年度から新たにスタートした令和4年度文化芸術による子供育成推進事業「ユニバーサル公演事業」として開催されたもの。

これまで実施されている「文化芸術による子供育成推進事業」の中で、“更に多くの子どもたちが文化芸術に親しみ、文化芸術を通して表現の多様性を認識し、障がいへの理解を深める鑑賞・体験機会を提供すること”(文化芸術による子供育成推進事業のサイトより引用)を目的としておこなわれました。

「今日はプロの演奏家の方々がきてくれました。動画配信でもテレビでもありません。みんなの目の前で演奏してくれます。なかなか体験できない、貴重な機会ですから楽しみましょう!」

子どもたちが一生懸命作ってくださった花飾りで彩られたお部屋で、育成学級担当の吉田先生が子どもたちに優しい口調で語りかけ、コンサート&ワークショップはスタートです。

子どもたちは少し緊張した面持ちで、アーティストの入場を待っています。

それでも司会のなつきさんが客席の前に立ち「みなさん、今日はよろしくお願いします」と呼びかけると、元気に「よろしくおねがいします!」と返してくれる子どもたち。

会場の空気が少しづつ暖まり始めます。

アーティストたちが会場の後方から入場すると、あちらこちらから「うわー」「きれいー」の声が。

そして全員が揃ったところで、最初の曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の演奏がはじまり、その美しい音色が会場に小気味良い雰囲気を誘います。

演奏が終わると、今度は楽器の紹介です。

「弦楽器は弓で弾くんだけど、白い部分は何でできてるか知ってるかな?」

「はい!馬のしっぽ」

「すごい、正解!」

みんなでさまざまな考えをたくさん言葉にして表現してくれました。

楽器に詳しくなったところで演奏されたのは、だれもが知るベートーヴェンの「運命」。

その迫力あるアーティストたちの演奏に、会場の子どもたちは息を呑んで聞き入ります。

そして最後の1音が消えると、会場に鳴り響く大きな拍手。

「この『運命』という曲は、ベートヴェンが耳が聞こえなくなって絶望した気持ちを込めて作った曲なんだよ。音楽は楽しい気持ちだけじゃなくて、苦しい気持ちや悲しい想いを乗せて作ってもいいんだ」

チェロのひろゆきさんが説明したベートーヴェンと「運命」についての話にも、子どもたちは真剣に耳を傾けていました。

迫力ある演奏を聴いたあとは、音楽の授業でも練習している曲を、生演奏に合わせてみんなで歌ってみます。

子どもたちは恥ずかしさのためか最初は小さな声で、でもだんだんと大きな声で、そして最後は手拍子も入れながら素敵な歌声を会場に響かせてくれました。

笑顔でいっぱいのワークショップ

ワークショップではまず、身体を動かしながらのリズムゲームにトライ!

子どもたちに1拍目は手をパチン、2拍目は足踏み、そして3拍目ではフルートに合わせて背伸びをしてもらいます。

「4拍目はヴィオラがちょっと怪しげな音を出すよ、みんなどう動きたい?」と、なつきさんが問いかけると、子どもたちから手をブルブルさせる動きが。

「それ、いいね!やってみよう!」

そして最後の5拍目に全員でしゃがむ動作を入れて、ついに本番です。

リズムに合わせてのゲームは難しいかと思いきや、子どもたちは楽器の音に合わせて驚くほど俊敏に、そして楽しく動くことができました。

2つ目のワークショップではタンバリン・鈴・カスタネットを使い、「ハンガリー舞曲 第5番」に合わせて子どもたちみんなでアーティストたちとの共演を楽しみます。

短くパンとたたく音、そして楽器をふるわせて長く出す音の2種類を練習したら、演奏に挑戦。

四重奏の音色と、子どもたちが鳴らすリズムが会場いっぱいに広がりました。

堂々としたピアノ演奏を披露

今回のコンサート&ワークショップの最大の見せ場は、みんことアーティストと生徒の方との共演。

たくさんの人に愛されている坂本九さんの曲を、生徒さんのピアノを含めたクインテットで演奏します。

そしてフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、そしてチェロがピアノに合わせて音を重ね演奏を始めると、会場は一気に華やかに。

途中から加わった子どもたちの歌声と鍵盤から紡ぎ出される音色が、四重奏をバックグラウンドにくっきりと浮き上がり、心地よい響きが会場の心をつかみました。

演奏が終わると「すご〜い」の歓声と大きな拍手が湧き起こります。

「緊張したけれど、とても楽しかったです」

ピアノを演奏してくれた生徒さんの、恥ずかしそうに、でも充実感に満ちあふれた笑顔で語ってくれた言葉と、その演奏を応援した子どもたちの励ましが印象的でした。

コンサート&ワークショップの最後は、手を楽器にして会場のみんなで演奏に参加。

強弱をつけてリズミカルに大きな手拍子をしながら、全身で音楽を楽しみます。

フィナーレは子どもたちにおなじみの曲をアンコールで演奏。

鳴り止まない拍手の中、コンサート&ワークショップは幕を閉じました。

最後に子どもたちからお礼の言葉と花束をいただきました。

「みんな音楽が大好きなんです。新しい環境や新しい人との出会いに戸惑いもあったのかもしれませんが、音楽の体験をとっても楽しんでくれました」と語ってくれたのは、吉田先生。

子どもたちからは「生で見ると演奏が迫力があってとてもスゴかった」や「ステキな響きでした」などのコメントをいただきました。

子どもたちの笑顔と先生方の愛情をたっぷりと感じることのできた今回のコンサート&ワークショップ。

京都市立神川中学校の先生方、そして生徒のみなさん、ありがとうございました。

今回訪問したアーティスト

ヴァイオリンの森澤 麻里江がデビューしました。これからもよろしくお願いいたします

フルート:かなこさん(谷田 圭菜好)
ヴァイオリン:まりえさん(森澤 麻里江)
ヴィオラ:ゆうきさん(小倉 勇樹)
チェロ:ひろゆきさん(ヨコミゾヒロユキ)
司会:なつきさん(坂本 夏樹)

このコンサートを担当したのは…

髙山 和己(たかやま かずみ) 
2022年にみんこと事務局に加わりました。前職は高校の音楽の先生。
子どもたちが自由に音楽を楽しみ、思うがままの反応ができる「みんなのコンサート」を、たくさんの子どもたちに体験してほしい!
打楽器や作編曲を専門に、自身も音楽活動を行っています。

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