私たち「みんこと」は小学校入学前の子どもたちに、音楽を通した“本物の体験”を届ける活動をしています。
それは、五感を使い心を動かす本物の文化芸術体験は、子どもの豊かな心と感性を育むと考えているから。
感性や体験の話題を中心にお届けするコラム「シリーズ 感じる心を育てる」。今回はマザリーズについてです。
みなさんは赤ちゃんや子どもたちに向き合うとき、知らず知らずのうちにゆっくり、そしていつもより少し高い独特の口調で話していませんか?
この話し方、じつはマザリーズと呼ばれ、子どもの成長にさまざまな影響を与えているそうなんです。
まわりの優しい語りかけをキャッチ!
「infant」という子どもを意味する英語。
じつはラテン語の「infantem」=「話すことができない」の意味を持つ単語から来ているとか。
たしかに、生まれたばかりの赤ちゃんは、言葉で話すことができません。
でも、まわりから聞こえてくるいろいろな言葉、とくに身近な人からの語りかけによって言語をどんどん習得し、言葉を発するようになっていきます。
だから、語りかけは子どもの育ちにとっても大切。
とくに胎内にいたときからよく聞いていたお母さんの、しかも、子どもの表情や身振りに合わせたゆっくりとした、そして声の強さやピッチを変化させ、少ない単語や文章を繰り返す話し方に、赤ちゃんは注意をひきつけられるのだそう。
そのなかで、子どもたちは話されている言葉の内容が理解できなくても、メッセージのコミュニケーションに気づくようになっていくそうなんです。
そして、このときのお母さんの独特な語りかけがマザリーズ。
ファザーリーズやペアレンティーズなどとも呼ばれ、ほぼすべての文化圏でみられます。
「ネコさん、かわいいね〜」や「○○ちゃん、おりこうさんね〜」といった独特な口調は、万国共通なんですね。
よい影響がたくさんのマザリーズ
このマザリーズ、近年の研究から子どもたちの成長にさまざまな影響を与えることが、わかってきています。
たとえば、赤ちゃんにとってマザリーズでの語りかけはメッセージが伝わりやすく、言語の獲得を促進すると考えられること。
また、この語りかけは赤ちゃんの注意をひきつけやすいので、お母さんやお父さん、そして身近な人と視線を合わせることにつながり、話しかけている人との情緒的な絆を強くしているとも言われています。
そして、マザリーズの音声は母親の脳活動にも影響があるとか。
現在、産後うつなどとも関係があるのではと、さまざまな研究がされているそうです。
一緒に楽しめば、もっと増える語りかけ
このように、子どもとお母さんにもよい影響があると考えられるマザリーズですが、優しい口調が苦手な方や、マザリーズで語りかけたくないときだってあるかもしれませんよね。
そんなときは、小さなお子様でも参加できるイベントに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
日常から離れ、楽しい時間を子どもと一緒に過ごせば、話しかける機会がぐんっと増えるかもしれません。
子どもに親しみやすいクラシックの音楽と聞きごたえのあるプロの演奏を楽しめるコンサートもおすすめです。
親子でリラックスできるコンサートなら、マザリーズを少し意識してたくさん話しかけることもできるかも。
子どもと音楽を楽しみながら、心温まるひとときが過ごせるに違いありません。
この記事を書いたのは…
パイプ なこ
モノづくりを軸に、編集・ライターの仕事をしています。
音楽を通して子どもたちが自由に表現できる世界が広がって欲しい!という思いで、2022年からみんことの仲間になりました。
いつもイギリス人の夫・息子と一緒に、音楽、写真、イラストなどなどを楽しんでいます。
みんなのことばは、プロの音楽家とともに、参加型クラシックプログラムを通して子どもの心を育てる活動をするNPO法人です。
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