本質を幼児に伝えられる専門家の存在のありがたさ|【第1回】先生インタビュー 言問幼稚園②(東京都墨田区)

長年にわたり、みんなのことばをご利用いただいている幼稚園や保育園、学校の先生方にお話をうかがう「先生インタビューシリーズ」。第1回は、言問幼稚園(東京都墨田区)の小林昭寛園長先生と小林麻衣子副園長先生をお訪ねしました。今回はその2回目。

言問幼稚園では毎年、参加型クラシック「みんなのコンサート」の開催のほか、正課プログラムとして、年長さんには「おんがくかい」を、年中さんには「音楽体験教室 おとあそび」を通年で導入されています。

「みんこと」との出会いからその交流で変化していること、今後の「みんこと」への期待、そして言問幼稚園の教育理念、コロナ禍の3年間の挑戦などについて、3回にわたってお届けしています。

▼1回目の記事はこちら

子どもたちが音楽を楽しむ姿が、先生たちの意識を変えた

みんことを保育に導入してから、子どもたちは変わりましたか?また、ほかのエピソードがあればお聞かせください。

副園長先生

最初は音楽をちゃんと聴かせなきゃ!みたいな気持ちがどうしても働いて、もぞもぞしている園児さんに先生たちがチョンチョンと手で合図をしたりしていたこともありました。「音楽体験教室 おとあそび」のなつき先生が「自由にして大丈夫ですよ。いいですよ」と声をかけてくださって、担任の先生が注意せずに見守るようになり、「体を動かしてもいいよ」って声をかけるように変わっていきました。すると、そのような声がけの後、子どもたちの反応がおもしろくて、とても可愛らしい、という言葉が先生方から聞かれるようになりました。

園長先生

うちの幼稚園で以前30年間ほど勤めてくださった造形指導の先生がいらっしゃいました。その先生がいつもおっしゃっていたのが、技術を教える専門家や芸術家はいっぱいいるけれど、その本質を幼児に伝えられる人は本当にいない、ということ。

それはどういうことかというと、その芸術のすばらしさとか良さを伝える手段を持っている芸術家が少ないということなんです。芸術家の方はすばらしい方がたくさんいるけれども、その方々が子どもの生活の中にその素晴らしさを持ってきてくださる、ということが少ないと。これは造形の話でしたけれど、私自身、音楽でもそういうことがあるのだろう、と思ったんです。だから「おとあそび」や「みんなのコンサート」のような形で園に来て音楽の魅力を子どもに伝えてくださる方がいるっていうのは、これはありがたいことだなって思っています。

園長先生

楽器が得意な先生はもちろんいますし、私自身、子どもたちに打楽器を教えてみました。やはり自分でやるのはなかなか難しく、限界を感じました。そういった意味でも、みんなのコンサートで演奏してくださるプロのアーティストの方々や「おとあそび」の先生方の持ってる引き出しの広さに、お願いしてよかったと思っています

副園長先生

それと、子どもたちが音楽を楽しむのが早くなったように思います。コンサートなど慣れないイベントの時は、最初はポカーンとしてしまうんですけれども、「おとあそび」の土壌があるので最初からワクワクしていて、とっかかりが早いですね。小さい子どもたちですから、いつもリズムにちゃんと乗っているわけでもないのですが、以前に比べると、子どもたちが音楽の世界にすっと入っていけている感じがしますね。

子ども同士の影響から生まれるおもしろい化学反応

園児さんたちに変化はありましたか?

園長先生

そうですね。初めてコンサートに参加したときと比べると、ぜんぜん違いますね。今日はコンサートがあるよ、という話を先生がすると、「おとあそび」の経験から、楽しいことがあるんだというイメージにすぐに結びついて、子どもたちのワクワクした反応が返ってくるようになりました。

副園長先生

あと、音楽にあわせてノッている子どもにほかの子どもが影響を受けますね。だから、先生方はなるべく全園児をコンサートに参加させたいと思っています。年中さん・年長さんの反応を見て、それに影響されて年少さんたちも音楽を楽しめるということがあるので。

2023年3月、インタビューにお答えくださった園長先生(右)、副園長先生(左)。
副園長先生

じつは先生方からの「年少さんにも聞かせてあげたい」というリクエストに応えて、「じゃあ親子コンサートをお願いしてみる?」ということになりまして、初年度にさっそく開催していただきました。園児だけでなく、その保護者の方々にも、とても好評でした。園から保護者の方々に「コンサートに申し込んでください」と言ったら、ご自分からはなかなか来ていただけなかったかもしれません。冬休み前の最終日にコンサートを開く形にして、その日に親子登園して参加していただきました。保護者の方からは、「子どもの反応がとってもよかった」と大好評で。正直、最初はコロナ禍だけのつもりだったのですが、ここまで好評だと親子コンサートをちょっとやめられない、みたいになっています(笑)

▼開催した親子コンサートはこちら

園長先生、副園長先生、ありがとうございました。
また、今回のインタビューを最後までお読みくださった皆さま、ありがとうございました。

言問幼稚園さんでは現在「みんなのコンサート」のほか、正課プログラムとして、年長さんには「おんがくかい」を、年中さんには「音楽体験教室 おとあそび」を通年で導入されています。

次回は、「コロナ禍での変化」「プログラムを通して考える子どもたちへの思い」などをお伝えします。
お楽しみに!

言問幼稚園のホームページ
言問幼稚園の過去のコンサート・プログラム実施レポート

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