なつきおねえさん(坂本夏樹)/みんことメンバー深掘りインタビュー

みんことアーティストの「ゆうきおにいさん」こと小倉勇樹がインタビュアーとなり、みんことのメンバーにインタビューをする企画の第5回。アーティスト同士だからこそ引き出せる新たな魅力を、皆さんにお伝えしています。


音楽と一生仲良く友達でいられる人を増やしたい

2021年始まりましたね。皆様はどんな年にしたいですか?

私、ヴァイオリン&ヴィオラの「ゆうきおにいさん」こと小倉勇樹がお届けする、この「みんことメンバー深掘り(!?)インタビュー」

今年も皆さんに「みんこと」のことを、メンバーのことを、より深く身近に感じてもらえるように、明るく楽しくお届けしたいと思っております。読みながら時にはクスッと笑ってね。今年もどうぞよろしくお願い致します。

では早速参りましょう!

新年最初のインタビューは、「Dream Up」プロジェクトマネージャーで司会でもある、なつきおねえさんこと、坂本夏樹さんです。

「Dream Up」は、全仏テニスのスポンサーとしても有名な外資系金融機関、BNPパリバ様が世界30か国でおこなっているアートで子どもを支援する活動です。2018年度より日本で行う「Dream Up」のパートナーとしてNPOみんなのことばが選ばれ、子どもたちへコンサートおよび合奏のワークショップを展開しています。

▼アートで子どもを支援する「Dream Up」について詳しくはこちらをご覧ください。
BNPパリバ 芸術教育支援「Dream Up」

司会のなつきおねえさん
小倉

「Dream Up」も今年で3年目突入だね。

坂本

はい。「Dream Up」では「子どもたち自身が『音楽を表現したい!』という気持ちになって『アーティストと一緒に演奏する』こと」を目標にワークショップを行っています。各学校の先生と相談しながらですが、およそ3~6回のワークショップで演奏発表会をします。そこでは「ただ決められた楽譜を練習しましょう」ということではなく、子どもたちが音楽に親しみ、私たちとお互いの信頼度を高めて「一緒に心から演奏を楽しみましょう」ということを大事にしています。

緊急事態宣言の影響で残念ながらキャンセルになってしまった学校、回数が減ってしまった学校もありますが、1回1回を大切にやっていきたいと思っています。

小倉

どんなことをして「一緒に心から演奏を楽しみましょう」に持っていくの?

坂本

基本的には最後の発表につながるようにしています。例えば、去年ベートーベンの「運命」をやったときは「運命が扉を叩く」のリズムをちゃんと感じられるようなワークをやったり、発表の時に「合図を見て全員で同じことをする」ができるように、そんなゲームを作ってやってみたりしました。あとは子どもたちもアーティストも、それぞれのキャラクターを引き出せるような内容のものを考えています。

小倉

なるほど!だから僕たちアーティストも参加していてとっても楽しいんだね。

坂本

わー!ありがとうございます!

私、ピアノは小さい頃からやっていて、音大を卒業したら地元の秋田に戻って、習いに来る子たちに「音楽って面白い」って感じてもらえるようなピアノの先生になりたいな、って思っていたんです。昔の先生が厳しかったからか、小さい時の私は「音楽は好き」だけど正直「楽しくない」って思っていました。「厳しくしないと上手にならないのかな?」「上手くなるより一生音楽と仲良くしていく人が増えると良いな」という思いから、大学ではピアノはもちろんですが、音楽教育も勉強しました。「面白いレッスンをしている人ってどんな人?」「楽しい発表会にするには?」から「そもそもピアノを習う前の子どもたちにはどういうアプローチをしているのかな?」まで、様々な技術やネタを持ち帰りたいがために、いろいろな講座や団体にも顔を出してきました。だから日本の幼児向けのクラシック音楽の現状やオーケストラのアウトリーチ活動がどのようなものか、というのは知っていて…正直「つまんないなぁ」というものもあり…(笑)

小倉

あはは…(汗)

坂本

でも「音楽の知識が何もわからなくてよい」と考えているわけではなくて、ただ最初に正解・知識だけを教えたくないな、と。まず「どのように音楽と触れ合うか」が大事だと思っていて、例えば、最初の音楽の授業で「この音が『ド』です、この音の長さが『四分音符』です」って言われたら、そのまま勉強しなきゃいけなくなるけれど、音楽にはそんな知識よりも大事なことがある、って思っているのです。

小倉

うんうん。

坂本

私が「みんこと」に入りたいなって思ったのもそこが理由です。

「音楽の聴き方は自由、楽しみ方はそれぞれみつけよう」というスタンス、アーティストもそれぞれが個性あるパフォーマンスをしているし、音楽に正解が無い部分の良さを1番大事にしていると感じたので、すごく良いなと思いました。

小倉

でもなぜ「ピアノの先生」になるはずが「みんこと」の司会者に?

坂本

それが私、当然のようにピアニストとしてオーディションを受けに行ったのです。そうしたら面接で「実はピアノは無いんです」と言われて(笑)

でも、音楽ワークショップの勉強をしていて、そこで学んだことも「みんこと」で活かしていきたい、って話したら悠子さん(代表の渡邊悠子)が凄い興味を持ってくれて、私の音楽ワークショップを見学してくれたんです。そこで「夏樹さん、司会出来るよ。やってみない?」って言われて「えっ?司会!?」って(笑)。でも「みんこと」は面白そうだしやってみようと。

某N◯K局の「うたのおねえさん」をイメージして頂けると分かりやすいと思いますが、司会者って声楽家の方がやることが多いです。声や言葉を使って表現するところが同じだからでしょうか。一方、我々器楽家は、普段は楽器の音を使って表現する身で、声も言葉も使っていないためか、人前で「弾け」ても「話す」のは不得意な面々が多く…(もちろん、両方お得意な方もいらっしゃいます!)。だから「なつきおねえさん」の決断に拍手!

坂本

司会に決まってから観た最初の「みんこと」のコンサートは、司会がまりかちゃん(司会&歌のまりかおねえさん)でした。もう「THE うたのおねえさん!!」という感じでとても印象的で「私にはこれはできない~!」と思いました。

でも悠子さんから「いち大人としてアーティストと子どもたちの間に立って、音楽をコンサートをより深く知ってもらったり、より楽しんでもらうための夏樹さんらしい司会をすれば良いから」って言ってもらえたので、まずはそのスタイルで始めてみようと決心できました。

司会の立場としてはコンサートの内容やお伝えしたいことを理解した上で、それを自分の言葉に落とし込んでおき、でも一方では普段の私と変わらない「素」の感じで子どもたちと一緒にコンサートを聴いて、楽しんだり学んだりビックリしたりして(笑)

司会として普段から大事にしているのは「その場にいる人たちにとって一番居心地の良い空間を作ること」です。そのためには今日の子どもたち・今日のお客さんに合わせた問いかけや、話の速度などにも気をつけています。

小倉

ピアノがマイクに替わって、はや数年…もちろんピアニストととしても活躍中ですね。

坂本

司会をするようになって、子どもたちに何かを教えたり、人に説明したりするのが上手だね、って言ってもらえることが増えました。

小さい頃から人前に出るのが嫌いで、1人で絵を描いたり、言葉もしゃべったりするより文章を書いたり読んだりするほうが好きでした。だから子どもたちの前で「おねえさん」として司会をしたり、プロジェクトのリーダーを任されたり、という今の自分にはビックリ。人生どうなるかわからないですね(笑)

小倉

最後に今後の抱負を聞かせてほしいな。

坂本

感染症対策のため、昨年から「みんこと」が大事にしてきた「近さ」や「本物の体験」ができる場がとても少なくなってしまいました。でも私は「近さ」も「本物の体験」もとても大切なものだと思っています。

子どもたちが「本物の体験」から学べることはとても多いと思います。だからどんな状況でも「本物の体験」ができる場を増やしていきたいですし、「新しいふれあい方」ということも考えていかないとならないと思います。

私がこの道に進もうと思ったのも「本物の体験」があったからです。大学生の時にある講座のワークショップを体験したことで、楽譜とにらめっこして上手い下手とか、合ってる間違ってるとか、音楽にはそれだけでは評価されない一面もあるのだから「それなら誰でも楽しめるじゃない!」と気づいたことから始まっています。

そして「みんこと」はまさしく「参加体験型」!
聴き方も自由で、一緒に歌ったり手を叩いたり、演奏も一緒にします!

「みんこと」のアーティストはそれぞれに「思い」があるから一緒にやっていて楽しいです。そんな「みんこと」で、音楽と一生仲良く友達でいられる人を増やしていきたい。そのためにこれからも頑張っていきたいと思っています。

インタビューの時「こうして話してみると、自分のことがよくわかりますね」って言ってくれたなつっきー。どうやら「みんこと」はとってもステキなピアノの先生をひとり、秋田の方々から奪ってしまったようですね…。お詫びにいつか「みんこと」で「なつきおねえさん秋田凱旋ツアー」をしましょうね!

なつっきー、ありがとうございました。

(文・構成:小倉勇樹)


なつき先生のプロフィール
なつき先生が出演したコンサートレポート他

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