日常の園生活に溶け込む音楽活動|【第2回】先生インタビュー 白百合保育園<後編>(東京都江戸川区)

長年にわたり、みんなのことばをご利用いただいている幼稚園や保育園、学校の先生方にお話をうかがう「先生インタビューシリーズ」。第2回は、白百合保育園(東京都江戸川区)の園長・渡部裕人先生をお訪ねしました。

白百合保育園では年間6回の参加型クラシック「みんなのコンサート」の開催のほか、正課プログラムとして、0歳からの全園児を対象に「音楽体験教室 おとあそび」を通年で導入されています。

「みんこと」コンサートやプログラムの導入から、園内での変化、今後へのご期待などについて、前後編でお届けしています。

▼前編はこちら

コロナ期間中の子どもたちの体験とこれから

園長先生

ちょうどコロナに入るあたりでコンサートの回数を年6回に増やしたのは、大変なときこそ子ども達が楽しめる機会を設けたいという思いがありました。やはりコロナのせいにしたくないというのがあったんですね。コロナ禍ではいろいろな工夫をしたとしても、行事がどんどんなくなって、ましてや保護者と一緒に参加できるものはなくなっていきました。せめて子どもたちだけでも、刺激を受けられる機会は必要だと思っていました。

コロナの中でも変わらずコンサートをお届けできる、私たちにとっても白百合保育園さんは貴重な場でした。

園長先生

コロナ禍の厳しい状況の中で、アーティストの方に来ていただいているのは、相当な努力をされていると感じていました。こういうときこそ双方が出会える対面でのコンサートか必要で、オンラインなどの工夫もありましたけど、やはり生にこだわりがありました。

もしかしたら、保護者から対面でのコンサートに疑問の声があがるかもしれないと心配していましたが、そのような声はなかったです。本来であれば親子一緒にというところを、子どもたちだけでもやった方がいいと思って、なんとかコロナの3年間、続けることができました

コロナ禍でディスタンスを確保しながらおこなわれていたコンサート
園長先生

今年度は、子どもたちもマスクもほぼ外すようになって、いよいよ正常に戻り期待感を持っています。コロナの間はどうしても座る間隔をとったり、ステージからの距離をとったりしていました。これからはコロナ前のように、なるべくアーティストの方に近づいてという形に戻していけるといいですね。ぜひ、楽しいコンサートを届けていただければと思います。

子どもたちとアーティストの距離が近くなって、音の振動や息づかいを感じていただけるのが楽しみです。

音楽体験だけではない、日常の保育への影響

最初のコンサートで、子どもたちの反応についてエピソードがありましたらお聞かせいただけますか。

園長先生

職員も、アーティストを見て参考にして、学び取って、実際の保育活動に活かしているようです。職員の場合は、ピアノやキーボード、アカペラで歌うこともあるのですが、みんことさんのような特別な楽器を扱うことがないので、コンサートはちょっと特別な体験です。

そこに正課プログラム「おとあそび」があることで、コンサートとの間を仲介してくれています。職員は「おとあそび」で子どもたちと一緒に楽しんで動いて、良い経験をさせてもらっています。学びというと、すごく構えてしまうのですが、子どもと一緒に楽しんで動くことは、大変な保育現場で、息抜きやリフレッシュに繋がっていると思います

園長先生

子どもたちも、昨年度末のイベントで「おとあそび」について年長さんが披露する機会がありました。そのような体験によって「おとあそび」だけで終わっていなくて、日常的な遊びにも浸透しています。自分たちで先生の役、子どもの役のように、ごっこ遊びとして、ごく普通に園生活に溶け込んでいるのが良いと思っています

卒園しても心に残るイベントを目指して

0才から6年間の園生活の一部にみんことが存在するのはとてもありがたいです。これから学校で、そしてその後に続く未来に、少しでも良い影響があれば本当に嬉しいです。

園長先生

卒園した園児さんの保護者の方が学校でのイベントに「みんなのコンサート」を呼ぶ機会があったそうです。それも、お母さんご自身が子どもを見ていて、すごくコンサートが楽しかったという印象が残っていたのだと思います。

これからは卒園生たちのために、例えば土曜日とか、保育園のイベントとは別にコンサートを開催したいと考えています。教会の礼拝に来れば、在園児と卒園児が会うこともできるのですが、それとは別に、何か楽しいイベントで保育園生活を思い出してもらう機会があるといいかなと。

園長先生

コンサートやプログラムを継続していく中でアップデートも必要ですが、でもぜひ、ぶれないで続けていただければありがたいです。大いなるマンネリというところでしょうか。

保育園では、5年前に卒園した子も、10年前に卒園した子も、20年前に卒園した子から見ても、運動会の種目とか、クリスマスの劇は変わらないんですよ。教え子が親になって、建物が変わったり職員が変わったとしても、他の行事と同様に、コンサートも自分が小さい時にやっていたのと同じだなと感じてもらえたら嬉しいです

「大いなるマンネリ」、素敵なキーワードを頂きました。変わらない軸をしっかり持ちつつ、新しいチャレンジもしていく、この両方ですね。今日は本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。

園長先生

こちらこそ、いつも子どもたちのためにいろいろやっていただいて、ありがとうございます。


白百合保育園で年6回開催されている「みんなのコンサート」の詳細はこちら

0歳~全園児を対象とした正課プログラム「おとあそび」の詳細はこちら


園長先生、貴重なお話をありがとうございました。
また、今回のインタビューを最後までお読みくださった皆さま、ありがとうございました。

これからも白百合保育園さんでのコンサートやプログラムは、コンサートレポートで報告しますので、ぜひご覧ください。

白百合保育園のホームページ

白百合保育園の過去のコンサート・プログラム実施レポート

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